[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
10話ネタバレです。
ヤンデレって難しい。
自分の部屋に入ってロックをかけて、やっと一人になることができた。
しかし気を静めることなどとてもできない。
血が滲むほど握り締めた拳を壁に叩きつけた。
抑えきれない激情に身を震わせる。
――――なぁにやってんだよ、アレルヤ
「なぜ……何故あんなことをしたんだ!」
――――あんなこと、ね……。お前こそ何やってるのか解ってるのか?人殺しが仕事だろうが
「君は殺しすぎる!お願いだから……やめれくれ」
駄目だ。今の精神状態で彼と会話するのはひどく消耗する。くらりと眩暈を覚えて座り込んでしまった。
――――情けねえな。変わってやるから休んでろ。
「な!や、やめ………」
一瞬で顔付きががらりと変わった。
がりがりと頭を掻きながら起き上がる。
「そんなザマじゃ俺が困るんだよ。寝てろ」
――――嫌だ!勝手なことをするな!!
「うるせえ!…寝ろ」
強引に意識を遮断させる。アレルヤは抑えられている状態に慣れていないから直に眠ってしまうだろう
「まったく。自分がどれだけヤバかったのか解ってんのかよ」
よりによってあの人革に鹵獲されかけるとは。
デザインベイビーである俺達が捕らわれれば、まず人間扱いされないだろう。
また玩具にされるなんて冗談じゃない。
「殺してやる……。」
自分は人並みの死に方ができるだろうと思い込んでいる甘い奴等を。
塵のように踏み潰して苦しませてやる。自分はただの「もの」だと気付かせて絶望しながら死なせてやりたい。
特にあの女。俺達と同類の化物。
アレルヤを怯え苦しませたというだけで充分な「罪」だ。
どうやって殺してやろう。手足を引き千切ってのた打ち回りながら、あいつを人間扱いしている馬鹿なお仲間が死んでいく様を目の前で見せてやろうか。
「楽しいなぁ……アレルヤ」
世界中の人間全て殺して、泣き崩れるお前に口付けを贈りたい。そうしてやっと己の苛立ちは鎮まる気がするのだ。
そう考えてふと、半身を抱き締める腕を、慰める唇を、とうに失っていることを少しだけ悲しく思った。