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昔は二人ともヤンでればいい。
OKな人は続きからどうぞ
「お前なあ……勝手なことしてんじゃねえよ」
それはこちらの台詞だ。
気付けばベッドで中年の男が倒れていた。血の付いたナイフを見てまたやってしまったな、とだけ思う。
庇護してくれる大人無しに子供が一人、生きていくのは容易い事ではない。
盗み、物乞い、時には身体を売ってどうにか生き延びようとする。
自分は身体を売ったことはない。道端に蹲っている時に声をかけられた事はあるけど。寒くて、お腹が空いてもう何もかもどうでもよくなると、手を引かれるままについて行く。
そういう男は皆「彼」に罰を受けるのだ。
「ねえ…いつも思うけど、殺さなくてもいいんじゃない?」
「嫌だ、これに触られたなんて気持ち悪い。こんなのが生きているほうが間違ってる」
吐き捨てるような応えが返ってきた。僕は自分が生きてるのが一番間違ってると思うけど。
子供を嬲って殺してしまうのが好きな人もいる。犯したまま首を絞めて魚のように跳ねるのが好きなんだそうだ。だから僕らみたいな、いなくなっても誰も騒がないようなのを選ぶのだ。
この人もそうだった。僕は自分が生きているのがすごく罪深い気がして、このまま殺されてもいい気がする。
そう言うとすごく怒られるんだけど。
「守ってやるけど、もうちょっと大事にしろよ。この身体お前だけのじゃないんだからな」
優しいなあ、と思ってしまう。自分を大事にしろだなんて、今までそんなこと言う人はいなかったから。
ハレルヤは僕にだけは優しい。
彼は僕の分身で、僕を大事にするって事は彼自身を一番可愛いと思ってるってことだけど。
結局は自分で自分を慰めているようなものでも、初めて貰う砂糖菓子のような言葉だ。
僕が大事にできない命を、彼は守ってくれる。
彼が優しくできない他人を、僕はほんの少し哀れむことができる。
歪んだ自己愛を与え合い、現実を誤魔化してやっと生きているのだ。